奴について、分かる事が幾つか。

 女みたいに綺麗な顔だということ。
 長い長い髪をしているということ。
 あの外見で、元は軍人だということ。
 意外に打たれ強いということ。

 それから。


 寄りにもよって俺のお気に入りに、惚れているということ。









Black more Dark








「もう余り…ガイズを責めないであげてください」
 口元の血をぐいっと手の甲で拭ってヴァルイーダは呟く。その言葉を聞きとがめて、俺は一度置こうとした鞭を再び手に取った。

「ああ?何だって?」
 見せつけるように鞭を目の前で2,3度振って見せる。だがヴァルイーダは鞭が空気を切り裂く凶暴な音にも、僅かに瞳を眇めただけだった。
 色の薄い目でひたと俺を見据え、もう一度繰り返す。

「こんな風に痛めつける相手なら、私一人が居れば十分でしょう…あまりあの子を、苛めないであげて下さい」
「…何だ。お前はあのガキの保護者か何かか?」
「そういう訳では…ありませんが…」
 身を屈めて顔を覗き込もうとすると、鞭の音にすら怯える様子も無かったヴァルイーダが、初めて決まり悪げに顔を背ける。

「そりゃあ、おかしいよなァ?今までお前以外にも、俺が痛めつけてやってきた奴らは居ただろう?なのにあのガキの時に限って、お前は『やめろ』と訴える。…どうしてだ?」
「それは……」
 顎を掴んで、背けられた顔を無理矢理此方に向かせる。切れ長の目が、思考を読み取られまいとするかのように彷徨った。

「珍しいよなァ。自分も他人もどうでもいい。…生きる屍みたいに感情を殺してただ呼吸していただけのお前が、他人を其処まで庇うなんて」
「ガイズは…まだ、子供です」
 目を逸らしたままでヴァルイーダは低く呟く。
「まだ幼い身体なんです。始終こんな無体な行為を強いて…良い訳が、無い」
「だから。自分が身代わりになるから、ガイズを見逃してやれって?」
 顎から手を放すと、代わりに頬を殴りつけた。細い身体が、耐え切れず床に崩れ落ちる。
「つぅ……っ!」
「大した聖人君子振りじゃねぇか、ヴァルイーダ。だが」
 床に倒れ伏した身体に足をかけ、グ、と踏みつける。

「それは…ガイズ以外の『ガキ』でも同じか?」
「…………っ!」

 俺の言葉に、ビク、と足の下の身体が跳ねた。
「アイツ以外の奴がヤられてても、お前は『自分が身代わりになります』なんて言えるか?…言えねぇだろ」
 長い髪の下に隠れた瞳が幾度も瞬きをしている。きっとコイツ本人にも分かっているんだろう。
 『まだガイズが幼い子供だから、守る』。
 その言葉が、自分の気持ちを誤魔化すための都合のいいウソだということを。

 だが俺はその嘘にヴァルイーダを安住させてやるつもりなど更々無かった。
 俺の『元お気に入り』が、俺の『今のお気に入り』に一方的に思いを寄せている。
 こんな面白いことが、あるだろうか。
 ガイズを手元に縛り付けておけば、ガイズ本人の可愛い反応だけでなく、今までに無い程感情を露にして、嫉妬に身を焦がすヴァルイーダの様子も楽しめる。
 唇を吊り上げて、俺はヴァルイーダの耳元に囁いた。


「お前…あのガキに惚れてるんじゃないのか…?」


 ヴァルイーダは、のろのろと俺を見返した。期待に目を細めて俺は奴の様子を観察する。
 取って付けたような言葉で否定するか、それとも開き直って肯定するか。
 一度瞬きして、身を起こすとヴァルイーダは乱れかかった髪をさらりと掻き上げ―――。

 ニヤリ、と笑った。

(な…!何だったんだ、今の笑みは!!)
 例えて言うなら闇より黒く。ブラックホール級の黒い笑みに飲み込まれかかって、俺は戦慄する。
 その俺の目の前で、先程まで責め立てられて息も絶え絶えだった筈のヴァルイーダは、体重を感じさせない軽い動きですっくと立ち上がった。
 そしてぱんぱん、と服の埃を払い、くるりと此方を振り向く。

「何だ…ばれちゃってましたか」

 そう言っていけないいけない、と頭を掻きつつぺろりと舌を出す。そのかっるーい口調に、俺は呆気に取られた。
(だ…誰だ、コレ……)
 こんな男知らない。俺の知っているヴァルイーダは、優しすぎるが故に精神的に脆くて、まるで薄幸の美女のような雰囲気の……

「あーあ。貴方にまでバレてたなんて、私もまだまだですねぇ…」
 未だ傷からは血が流れているが、平然と立ち上がったヴァルイーダは此方と相対するように立った。
「ヴァ、ヴァルイーダ?お前…」
 突然の奴の豹変振りについていけず、情けないくらいに声が上擦る。
「そーなんですよねぇ…実は私、どうやら本気であの子が好きになってしまったみたいなんです」
 悪びれもせず、平然とヴァルイーダは俺の問いかけを肯定した。
(お…おかしい…こんな筈では…)
 ストイックで常識人のヴァルイーダの事、ガイズに思いを寄せている自分を中々認められず、苦しんでいるだろうと思っていたのに。そこを突付いて楽しもうと思っていたのに…!

「だって、可愛いんですよねぇ…ガイズ。勝気で、負けん気が強くて、何時だって一生懸命で、意地っ張りで。…なのに悪い事してしまった時とか、妙に素直に謝ったりするのがまた可愛くてもう…」
 呆然としている内に、気付けば延々とヴァルイーダのノロケ話が始まってしまっている。
 …個人的には最後に語られた『妙に素直な可愛いガイズ』が気になるが(まだ見たこと無いので)、それは置いておいて。
「な…何だ。随分入れ込んでるんじゃねぇか…」
 ひくひくと頬を引き攣らせつつ、余裕を演じて俺は腕を組む。だが次のヴァルイーダの何気ない一言で、俺の余裕は粉々に砕かれた。

「ええ、入れ込んでますよ。…でも、貴方もですよね、デューラ」
「…な……っ!だ…っ誰が!!」
「どもっちゃってますよ、デューラ…いい加減アナタも素直に認めればいいのに…ガイズの事、好きなんでしょ?」
「お…俺が…誰を…!」
「え?アナタがー。ガイズを」

 好きなんでしょ?とにっこりと笑われて、不意打ちの指摘に自分の制御できない所で心拍数が一気に上がった。
(ば、馬鹿言ってんじゃねぇ!誰が囚人なんかを『好き』に……!)
 だが『好き』という言葉と、あのガキの姿が同時に脳裏にぽん、と浮かんだ途端、顔が火照って体温が一気に上昇する。
「デューラ…耳どころか、首まで赤くなってますよ?」
「う、煩い!!」
 指摘された所為で恥ずかしさが加わり、一層顔が赤くなる。その様を見て、ヴァルイーダが楽しげに笑う。
(こ…この様子…どっかで見たような…)
 …これって、正に俺がヴァルイーダにしようとしていたこと、そのままじゃないだろうか。
 あのガキに好意を抱いているだろう、という事実を指摘して、そんなのウソだ、認めたくない、と意地を張る様を楽しんで。
(…って言ったら、俺が本当にあのガキに好意を…持っちまってるみたいじゃねぇか…!)
 違う違う、と首を振るが、その反応こそ正に自分がヴァルイーダにして欲しかったものであると、俺は気付けなかった。
 そんな俺とは対照的に、ヴァルイーダは憎たらしいくらい余裕綽々で口を開く。

「…と、いうことは…デューラは私の、『恋のライバル』ってこと、ですねv」
「なーにーがー『恋のライバル』だ!」
 聞き捨てなら無い言葉に噛み付くが、ヴァルイーダは好戦的にニヤリと笑ってみせる。
「何だ…デューラ、私と戦うのが怖いんですか…?」
「な、何だと…!?」
 安っぽい挑発。しかも微妙に論点が摩り替わっている(あくまで『恋の』という部分に問題があったのであって、『ライバル』になりたいとかなりたくないとか、そういった事を言いたかったのではない)。
 だが頭に血の上ってしまった俺は、その挑発に簡単に引っかかってしまった。
「上等だ…お前、俺からあのガキを取れると思ってるのか…?」
「『取れる』も何も、最初ッからガイズは、デューラのものじゃないでしょう?」
 毛虫かゲジゲジみたいに嫌われてるくせにー、と言われてカッとなる。
「その点、私は最近ガイズに好感を持ってもらってるようですしー。何より独房が隣同士、という絶好のポジションをキープしてますしv」
「く……っ!」
「大体いっつもガイズを苛めてばっかりのデューラに、勝ち目があるわけないじゃないですか」
「お…お前…さっきから随分言いたい事言ってくれるじゃねぇか…!」

 今まで、猫かぶってやがったなぁ…?

 低く問い掛けると、ヴァルイーダは喉の奥でクク、と笑う。
 その笑い方も、俺が今まで知らなかったものだ。
「『情報部』なんて所に長年在籍してるとね…色々なことを覚えるんですよ。そう」

 『色々なことを』、ね…

「…そう言えばお前、大使夫人をたらし込む何て仕事もしてたって話…だな。そのときみてぇな手練手管をもって、あのガキを落とす気か?」
「まさか。『本当に好きな人』にそんな失礼な事、しませんよ」
 あっさりと否定したヴァルイーダは、だが他に何を隠し持っているというのか楽しげに微笑んでいる。

「…そうか。だが、な」
 先程床に放り出した鞭を、俺は徐に拾い上げた。
「お前がどんな手管を持っているか知らねぇが…だったら答えは簡単だ。あのガキに絶対に手出ししねぇって誓うまで――」
 ヒュっと音を立てて鞭が鳴る。

「痛めつけて…やるまでだ!」

 振り下ろされた先で、赤い花が弾けた。









 幾度も幾度も鞭を振り下ろし、息が切れてきた頃に漸く俺はヴァルイーダを解放した。
 白い肌が、所々裂けて血を滴らせている。
「…ったく…、お前が…悪いんだ…!余計な事ばかり言うから…!」
 どうだ?諦める気になったか?
 そう言って、長い髪を掴んで頭を引き上げる。

 だが、さらりと顔を覆っていた髪が流れて現れた、その顔は。


 笑って、いた。


「な…何だ、と…?」
 馬鹿な。今までで一番激しく責め立てた。経験上ならば、気を失って数日は寝込むようなことになっていた筈なのに。
 得体の知れない化物を目の前にしているようで、ゾッと背筋が粟立つ。
 そんな俺の様を笑って、ヴァルイーダは立ち上がった。
「どういうことだ……」
「元軍人ですからね…私も」
 そう言ってクスクスと笑うと、俺の手から滑り落ちた鞭を足で蹴り飛ばす。
「人間には打たれて痛い場所と、そうでもない場所があるんです。それを熟知して上手く避ければ、さほどのダメージは受けませんよ」
「今までも…そうだったんだな!大してダメージを受けていないのに…気絶した振りをして…!責めから逃れて…!」
「ええ。直ぐに気を失った振りではバレてしまうかもしれませんから、ある程度まで時間は置いて…時間の取り方も、呻き声の上げ方も此処に居る間に、相当慣れましたよ」
「………………」
 アレが芝居だとは、本人の口から告げられても信じられない。父も自分も、完全に欺かれていた。
「だったら…その猿芝居が持たなくなるまで殴ってやるまでだ!」
「無駄ですよ。もう、息が切れてるじゃないですか、デューラ。これ以上はもう無理なんでしょう?」
「う……」

 確かに、悔しいがその通りだ。鞭を振るいつづけた腕や肩は、びりびりと酷く痺れている。

「と、言う事で私はガイズを諦めませんから。精々頑張って下さいね、『恋のライバル』さんv」
「待て!貴様!!」

 歯噛みする俺を置いて、憎たらしくも一度ウインクし見せるとヴァルイーダはスタスタと歩み去っていった。

(…っていうか無茶苦茶普通にスタスタスタスタ歩いてるし…!お前、本当に全然ダメージ受けてないんじゃねぇか…!)









 …だが、やられっぱなしは、やはり俺の性に合わない(逆ならまだしも)。
 暫し時間を置いて、漸く息を整えた俺はヴァルイーダの後を追って走り出した。
 程なく、銀髪の後姿が暢気に歩いているのを発見する。
 その時、曲がり角から駆け出して来た人影が、ヴァルイーダに追突したのが見えた。そして咄嗟に抱え込もうとしたヴァルイーダもろとも、転倒する。
「う…わぁぁっ!」
「い……っつ」
 ヴァルイーダの上に乗っかるような体勢で居た相手は、慌ててその身体の上から身を起こした。
「あ、わ、悪い……って、ヴァルイーダ!?」
「え…?あ、ガイズ…?」
 自分がクッションにしていた相手が顔見知りだったと気付き、ぶつかってきた少年は――ガイズは、驚きに目を見開いた。
「ごめん…!俺、前見てなくて…」
「あぁ…良いんですよ…」
 そう言ってヴァルイーダは微笑む。その笑みは、先程まで俺に見せていた黒く禍々しいものではなく…どこか儚げな微笑だ。心なしか、声も弱々しくなっている。

「ホント、ごめん……え!?ヴァルイーダ!?どうしたんだよ、この傷!」
 我に返ってヴァルイーダの様を眺め、常より酷い傷に気付いたのだろう。ガイズが悲鳴に近い声を上げる。
「どうしたんだよ…コレ…」
「……何でも…無いですよ。貴方が気にすることでは、ありませんから…」
 そう言って安心させるようにヴァルイーダはガイズの頬を撫でる。…だが、『何でもない』と言いつつ、立ち上がる様子は見せない。
「何が『何でも無い』だよ!こんな酷い怪我して…!」
 涙混じりに叫ぶガイズは、怒りを押し殺した声で低く呟いた。
「また…デューラの奴、なんだろ…?」
「………………」
 ヴァルイーダは答えず、そっと顔を背けた。その様に、ガイズが唇を噛む。
「待ってろよ、今、医者呼んで来てやるから…!」
「ガイズ…」
「え」
 駆け出そうとしたガイズが、不意に足を止めた。
 よく見るとその左手が、しっかりとヴァルイーダに握り締められている。
「…行かないで…くださ…」
 途切れ途切れの口調で弱々しく懇願するヴァルイーダに、ガイズの視線が迷うように彷徨う。
「でも…俺じゃロクに治療とか、出来ねぇし…!」
「いいんです…お願いですから此処に…居て…ください…」
 言い終えたヴァルイーダは、細く息をついて、壁に身体を持たせかける。
 その苦しげな様子に、ガイズも迷いながら傍らに座り込んだ。その手は未だ、ヴァルイーダに握られたままだ。

(ちょっと待て。お前…さっきまであんなに元気だっただろうがぁぁっ…!芝居でガイズの同情を引きやがってぇぇっ!!)

 壁の影に隠れながら、俺はギリギリと歯軋りする。
 そんな俺には気付かず、目の前では着々と『二人の世界』が出来つつあった。

「大丈夫なのか…ヴァルイーダ…」
「ええ…見た目ほど酷い傷じゃ、ないんですよ…」
(当たり前じゃねぇか!さっきまでスタスタ歩いてたくせに…!)
 という俺の心の中での突っ込みは、当然二人には聞こえない。
「でも、血くらいは何とかしねぇと…。うーん、でも拭く物も無いし…」
「だから、大丈夫ですって…」
「でも…!」
「そうですねぇ…だったら」
 ふ、と笑ったヴァルイーダが、指先でガイズの唇をなぞる。
(貴様!何を…!)
「え…?」
 戸惑うようなガイズに、ヴァルイーダはにっこりと微笑んで言った。

「ガイズが…舐めてくれますか?傷」

(いい加減にしろぉぉぉぉぉぉぉっ!!)
 ぎちぎちぎちぎち、と俺の手の下で爪を立てられた石壁が悲鳴を上げる。

「え…そ、そんな!」
 当然ガイズも、告げられた内容に真赤になって、顔を背けた。その様にヴァルイーダはふっと微笑む。
「冗談、ですよ」
 だがその目に一瞬だけ、淋しげな、傷ついたような光が過ぎる。
 それに敏感に気付いたガイズが、罪悪感に駆られたように俯いた。
(一度押しておいて引くとは…ヴァルイーダめ、高度なテクニック使いやがって…)

「ほら、冗談ですってば。…そんな顔、しないでください」
 そう言ってヴァルイーダは、ガイズの頬に手を添えて、顔を上げさせてやる。
 その時、何かを決意した目で、ガイズはヴァルイーダの胸元に、顔を埋めた。
「ヴァルイーダ…」
「ガイズ…?」
「俺…」
 耳まで顔を赤くしたガイズが、小さく舌を出してヴァルイーダの胸の傷を舐める。
 優しく、労わるように滲んでいた血を舐め取ると、ガイズの舌は次いで首筋の傷へ――
 そして頬を裂いた傷におずおずと舌を這わせると、真っ赤な顔でたどたどしく言った。
「ヴァルイーダだから…な。俺がこんなことしてやるの…ヴァルイーダ、だから…」
「ガイズ…」
 頬から、今度は切れてしまった唇の端にガイズが唇を寄せる。
 だが、今度はその舌は傷を癒してやる事が出来なかった。――ヴァルイーダの唇に、捕えられて。

(あ、アイツ……っ!!)

 ガイズも固まっていたが、覗き見ていた俺も完全に固まっていた。
 舌と舌を絡ませる密やかな音が、静かな廊下に響く。
「…は……っ」
 漸く解放されたガイズが小さく喘いだ。苦しげに息をつくガイズを愛しげに胸に抱きこんで、ヴァルイーダは額に優しくキスを落とす。

(ヴァルイーダ……やりやがったなぁぁぁっ!!)

 …既に石壁には俺の爪の跡が幾本もつけられていた。
 殺意の篭もった視線で抱き合う二人を見詰めつづける俺の方に、その時ふとヴァルイーダが顔を向ける。
 目が、合ってしまった。
 そして。

 先程までガイズに向けていたものとは裏腹の、あの黒い黒い笑顔でニヤリと笑ってみせる。

(き…気付いてたのか…!)

 何時から?あのヴァルイーダのことだ。きっと…最初から。
(馬鹿にしやがって…!)
 二人を引き離すべく駆け出そうとしたが、ふと嫌な予感に足を止めた。
 ガイズは、ヴァルイーダを傷つけたのが、俺だと思っている。それは事実だから仕方ないが――ヴァルイーダの弱々しい被害者振りを信じ込んでしまっているガイズの前に、今俺が顔を出すのは逆効果だ。ガイズは、被害者たるヴァルイーダを守ろうと、より一層俺に敵愾心を抱き、逆にヴァルイーダには同情を向けるだろう。

 結論。どれだけ腹立たしくても、今の二人を邪魔することは出来ない。

(くっそぉぉっ…!)
 歯噛みする俺の前で、ヴァルイーダは憎たらしくも、
『いいんですよ?邪魔したかったら、さあ来て御覧なさい?…もっともその後、貴方は一層ガイズに嫌われることになるでしょうけどねv』
 という顔で笑って見せる。



 …その時の俺に出来ることといったら…ただ手元の壁に、八つ当たりの爪跡をぎりぎりぎりぎり刻み付ける事、だけだった……くそっ!

















 奴について、分かる事が幾つか。

 女みたいに綺麗な顔だということ。
 長い長い髪をしているということ。
 あの外見で、元は軍人だということ。
 意外に打たれ強いということ。
 俺のお気に入りに惚れているということ。

 …それから、今日分かったことがもう一つある。


(外見に似合わねぇ食わせ者で…とんでもねぇ根性悪だってことがな!畜生ぉぉっ!!)














END
















オーウ、誕生日SSの割に又あんまり祝ってなーいネ!(似非外人風)
ということで、鳥呼の推奨、黒い黒いヴァルイーダさんです。
お誕生日おめでとうー。プレゼントにはお約束の子猫ちゃんをアナタにv

ゲームプレイ中も、
『この人軍人だし…やられてんのも全部ガイズの同情引くための芝居、とかだったら面白いよなぁ…』と思ってました。
不謹慎もいいところです。
しかしこのSSみたいに本当にアレが全部演技だったら、凄いよな…(有り得ません)
密かにこのSSのヴァルイーダさんを、鳥呼は北島●ヤと呼んでいます。恐ろしい子…!
とすると、亜弓さんが主任でー、紫の薔薇の人が…(以下略)

あ、今回の背景画像は『鋏』です。ニッコリ笑ってザックリとね。























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