2.鉄格子







「…こうして鉄格子ごしにお前を見ていると」

 白い手袋が錆の浮いた格子を掴む。

「捕まった動物でも観賞している気分になるなァ」

 くつくつと揺れる喉。吊り上がった唇。細められた目。
 檻の中の少年はベッドの上、甘んじてその無遠慮な視線を受ける。

「で…?今日はずっと其処に居るんですか?」
「…鍵、忘れた」
「…………」
「…お前、中から此処開けろ」
「…無茶言わないで下さい」

 呆れたように答えて、少年は再び手元の本に目を落とした。
 手袋を嵌めた主任の両手が、訴えるようにカチャカチャと鍵のかかった鉄格子を揺らす。








「…なぁ…あの139番の独房の前に立ってるの、主任だよな…」
「多分…」
「何で鉄格子の『外』に居る主任の方が、あんなに悔しそうにしてるんだ…?」
「さぁ…」










ある意味檻の中のほうが安全。ということ。










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