7.煙草 窓の外にふわりと一筋の紫煙が見え、足を止めた。 デューラの後に付き従っていたヴァルイーダが訝しげに呼びかける。 「デューラ?」 「…先に行ってろ」 その背を邪険に押して、追いたてる。 そして窓辺へ近づいた。 「作業をサボって一服中か。…いい度胸だな」 細い身体が弾かれたように、座り込んでいた芝生から立ち上がる。 見返す金目に責めるような光を見つけ、デューラは視線を和らげた。 「…ヴァルイーダを呼んだのは親父だ。…俺じゃ無い」 「…だから?」 「安心したか?」 「誰が!!」 噛み付くガイズの手から煙草を取り上げ、デューラは嘲う。 「貴賓室に行くには、この廊下を通らなくてはいけない。…そうだろう?」 「…………」 「ここで煙草を吸ったら、100%俺に見つかるよなぁ?」 「…………」 ガイズは、答えない。 「こんな小さい悪さで、俺を引き止めようとしたのか?」 「…………」 ガイズは答えない。そして否定もしない。 「…さしずめこの煙草は狼煙代わりか。…本当に可愛いことするな、お前…」 煙草を持ったほうと反対の手がガイズの頤を辿る。 「さぁ、俺が救助に来てやったぞ?それで、どうして欲しい?『遭難者』」 「そんなの…自分で考えろよ」 頬を染めて顔を背けるガイズにデューラは笑みを零す。 「そうだな。…それじゃ」 …まずは『人工呼吸』から、か? |
主任が好きすぎてヴァルイーダにまでヤキモチガイズ。 ハッキリ言ってツチノコ以上のレアもの。 戻 |
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