【カナリア】 『冤罪』をプレイした後、一番最初に書きたくなった話で。 一番最初に、書き上げた話でもあります。 籠の中の鳥は、籠から出されても然程長くは生きられないそうです。 その身体が、『籠の中に在るように』なってしまうので。 作中では書きませんでしたが、少年時代デューラの逃がしたあのカナリアも、 数日後地面で冷たくなっているのが発見されます。 カナリアは誰の所為で死ななければならなかったのでしょうか。 最初にカナリアを捕え、籠に入れた者の所為でしょうか。 籠の中にカナリアを閉じ込め続け、解放しなかった者の所為でしょうか。 それとも或いは――『籠の中に在るように』なってしまった自身に気付かず、 逃げ出そうとしたカナリア自身の所為なのでしょうか。 それは誰にも分かりません。 全員が均等に悪かったのかも知れませんし。 誰一人として、悪くなかったのかも知れません。 だから。 彼は自分も、他人も責める事が出来ず。 ただ目の前の現実を『幸せなもの』なのだと歪めて認識してしまう以外に 成す術が無かったのです。 それは確かに哀れなことかも知れませんが。 だからと言って『幸せ』でないとは――誰にも言い切ることが出来ないのです。 ※作中の『自由になあれ』は、『さかなのf』(藍川さとる・新書館)収録の『自由になあれ』から お借りしました。 戻 |
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