『ちゅにっき』の続きです。
上記SSをご覧になってからどうぞ。














 その小さな人について。解る事を幾つか挙げてみた。

1・金色の髪をしている。
2・紺色の制服を着ている。
3.小さい(一度測ってみたら約18cmだった。『オリジナル』の十分の一だ)
4.歩くと、足音が『ちゅに、ちゅに、ちゅに…』と鳴る。
5.故に、『ちゅにん』と呼ばれている。
6.顔は『あの人』そっくりで。
7.139番が…お気に入りの、ようだ。








 小さな人









「さっみー…」
 剥き出しになった首を、ガイズはきゅうっと竦めた。
 クリスマスにルスカが持って来てくれたマフラーは今も手の中にある。
 だが、ガイズはそれを巻こうとしない。
 くるくると丸めたそのマフラーの中に、大事に『あるもの』を抱えているからだ。

「だいじょーぶかー…?」
 そっと手の中の様子を伺うと、オレンジのマフラーの中から返事の代わりに金の頭がぴょこりと現れた。
 言わずと知れた『小さなあの人』こと、『ちゅにん』である。
(こんなちっさいんじゃ、寒さにも弱いだろ…)
 そう思ったガイズは、自分の寒さも省みず、マフラーをこの生き物に進呈してしまった。
 …過保護もいいとこである。
 だが、ガイズはこの刑務所では一番年が若い。
 世話を焼ける相手が出来たのがただ純粋に嬉しいのだろう。

 マフラーから顔を出した『ちゅにん』は、もそもそとその中から這い出して、ガイズの方へ手を伸ばす。
「おい…ダメだって、出て来ちゃ…」
 困ったガイズが窘めるのも聞かず、ちゅにんはその腕をよじ登り、いつもの指定席…ガイズの左肩の上に、乗っかった。
 そして伸び上がると、ガイズの頬に触れるだけのキスをする。


 ちゅにんについて解る事一点補足。
8.キスが好きだ(相手は139番限定で)


 ガイズはもう慣れてしまったのか、特に抵抗しないでされるがままになっている。
 ただ、触れる髪の先がくすぐったくて小さく笑い声を上げた。
 そのちょっと奇妙でかなりほのぼのな光景の、背後から近づくは不信な影。

「ガ〜イ〜ズ〜」

 地獄の底から聞こえてくるような低い声に、ガイズの身体がびくぅっと跳ねる。
「あ……デュー…」
「貴様…何をやってる…!」
 不審な影が――先ほどからこの光景をイライラと見ていた看守主任殿が、吼えた。
 が、怒鳴られたガイズは兎も角、肩の上の『小さき人』は正に馬耳東風。主任の怒りを歯牙にもかけない。
 見せつけるようにガイズの首にしがみつき、一層険しくなるその顔を嘲って見せた。


 ということで、もう一つ追加。
9.彼らの『上司』と…非常に仲が悪い。


 憎たらしい『ちゅにん』から目を逸らし、デューラはガイズの腕を掴んで引き寄せた。
「うわ…っ!何すんだよ!!」
 よろめいて悲鳴を上げるガイズに構わず、顔を寄せてキスを迫る。
 …が、その秀麗な顔をガイズの手ががしっと鷲掴みにし、接近(及びその後の接触)を食い止めた。
「…色気のねぇ避け方しやがって…!」
「色気って…何だ…っての!こら、止めろ!!」

 ぎりぎりぎり。近づこうとする力とそれを食い止めようとする力。
 譲れないお互いの力はほぼ互角だった。

「貴様ー!!何で俺のときばっかそんなに抵抗するんだーっ!!」
「だってお前は…その先まで及ぼうとするからだろうがぁぁぁっ!!」
「くそ…っ!そのチビのときは好きにさせてやるくせにぃぃっ!」

 嫉妬心剥き出しのデューラの叫びに、あっさりとガイズは答えた。
「コイツはいいんだよ。だって可愛いもん」
「『可愛い』…から…だとぉ…!?」
「……だってデューラ可愛くねぇし…」
「…………っ!」

 声には出さねど、『ガーン』という文字が主任の顔面に躍る。
 『ざまぁ見ろ』。そう言いたげにガイズの肩の上のちゅにんは、近づく金色の頭にちゅに、と蹴りを入れた。




※ちゅにん…小さき主任。体長18cm。体重700g。
 その他の性質は、全てオリジナルたるデューラ主任に準じる。




だが、オリジナルとの巨大な格差がここで一つ。



10.…ガイズに、甘やかされている。





















調子に乗って続きを投下。
ガイズは自分より小さいものが好き。可愛いものが好き。
…いっつも自分が言われてばっかだからなぁ(遠い目)











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